週刊新潮12月18日号が「遺伝子組み替え食品」アレルギーの滑稽な矛盾を指摘する記事を掲載した。
記事の冒頭で、茨城県の谷和原村でこの夏ある宗教集団が起こした器物破損事件に言及している。これは大変な事件なのだが、なぜか当時一般マスコミはこれをほとんど問題にしなかった。一般誌に、少しとはいえこの事件が取り上げられるのは歓迎すべきことなので、私も及ばずながらささやかな援護射撃をしておきたい。
この事件を要約すると、こうだ。谷和原村には遺伝子組み替えダイズを試験的に栽培している畑があった(このことは完全に合法であり、問題ないと国が認定していることだ)。ところが、これらに花が咲いたことを知ったとあるイカレタ男が、この畑に突然トラクターで乱入し、有無を言わさずすべての作物を土中にすきこんでしまったのである。 もちろん所有者や耕作者が知らない間に、許可なくだ!
犯人は、 「遺伝子組み替え食品いらない!キャンペーン」 をなのる集団に所属する男。少し検索してみるとわかるが、この集団とその支援者はGMO憎しに凝り固まった先鋭的で狂信的な人々である。この犯人とて英雄扱いだし、そうした暴走行為に自己陶酔している様が良くわかる。
だが、犯人たちがいかに自己の行為の正当性を信じようと、人のものを勝手に壊したのだから明らかに犯罪だ。いわゆる「確信犯」というやつだ。
犯人の取り巻き連中は、これをしないことには付近のダイズと組替えダイズが交配してしまい、壊滅するから、やむをえない緊急避難として実行したと主張している。だから断罪されるいわれはないと。
だが、こんなのは詭弁だ。まず、組替えダイズの安全性は問題ないレベルまで確認され、栽培も販売もしてよろしいという国のお墨付きが出ているのだ。犯人たちにそれを覆せる材料はない。この犯人たちの主張が認められるのなら、もしかしたら隣の男が包丁もって襲ってくるかもしれないから、先手を打ってこっちから刺し殺してしまったなどという行為も許されることになってしまうのである。
百歩譲って、彼らの危惧に多少の真実が含まれていたとしよう。それでも彼らの行動は容認しうるものではない。たとえば有機栽培の畑に虫が出たとする。その虫が自分の畑に侵入してこないよう、この有機栽培の畑に勝手に農薬をまく行為が許されるだろうか?
彼らが偏狭な自然崇拝に拘るのは自由だ。だが、彼らは仮にも法治国家に生活する人間として超えてはならない一線を超えてしまった。自分の主張を通すために暴力行為に打って出たのである。もはや彼らは、暴走族や暴力団や過激派の活動家と同レベル。われらが愛すべき日本国に存在してはいけない集団に成り下がった。
どういうわけか当局の動きが鈍いようだが、厳正なる処分を願ってやまない。
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遺伝子組み替え作物使用を正面きって宣言した納豆発売! 遺伝子組み替え作物にまつわる「宗教」
本エントリーの初出:チャンネル北国TV (2003-12-18)
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