シャワー室の話と、車掌さんはとても親切であるという話。
さて、寝台の周辺を調べ終わった私は、靴を脱いでベッドの上でちょっとぼーっとしていたわけだが、そのときノックの音がした。車掌さんだった。
「キップを拝見します」
「はい」
「(検札して)お客様、乗り遅れられましたか」
「ええ、新幹線で追いかけました、はははは」
「ははははは」
岡山県に入ろうかというあたりで、かなり空腹感がでてきたので弁当を食べることにした。自室の隣がラウンジだったので移動が楽でありがたい。 ラウンジはあまり広いとはいえないし、調度もどことなく無機質な感じだが弁当を食べるには充分だ。
弁当を食べながら、シャワー室の様子をうかがう。ずっと使用中である。シャワーは6分しか使えないはずなのに、中の人がいっこうに出てくる気配がないのは奇妙なことだった。弁当を食い終わり、自販機で追加のお茶を買って飲み、自室に戻ってノートパソコンを開いて一しきり書き物をし、それからタオルを持ってシャワー室に再び行ってみたが、まだ使用中だ。シャワー室は東京到着までいつでも使用可だというが、それでも明日の朝のことを考えると早く休みたいし……。
と、困っているとそこに車掌さんが通りかかった。私がタオルを手にうろうろしているのを見て、
「お客様、シャワー室ならもう一つ御座いますよ。」
と、手招きをしている。
車掌さんは今来た道を引き返し、私を先導してもう一つのシャワー室に案内してくれた。わざわざ隣の車両の反対側までだ。なんて親切なんだ。 ちなみにそのシャワー室はA寝台客専用のはずなのである。本当に使っていいんだろうかと思ったが、車掌さんがわざわざ案内してくれたのだから、良いのだろう。
ドアを開けると、そこには半畳ほどの脱衣スペースがある。備え付けのドライヤーなどもあった。さらにもう一つドアを開けると、やはり半畳ほどのスペースがあってそこがシャワールームなのであった。シャンプーとボディーソープも備え付けられている。
前述のようにシャワーは6分間だけ使える。シャワーの蛇口の下に、デジタル表示のタイマーがついている。お湯を出している間だけこのタイマーはカウントダウンを行ない、お湯を止めるとタイマーも連動して停止する。つまりお湯を出している総時間が6分だということだ。お湯さえ止めておけば、体を拭いたりしている時間はいくらでも取れるということ。6分という時間だけを聞くと短いように感じられる。だが実際に使ってみると、意外にそうでもない。頭を洗い体を洗いシャボンを漱ぎきる余裕は充分にあることが分かった。
左(上)図: 3号車、ソロ寝台領域の廊下。廊下の両側にソロ個室が並ぶ。上段用の入り口と下段用の入り口が交互に並ぶ。撮影位置の真後ろがラウンジとなる。 右(下)図: シングル寝台領域の廊下。ソロとは異なり、廊下も2階建てとなる。
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本エントリーの初出:チャンネル北国TV (2005-01-25)
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