彼をおいて、少子化問題の担当者にふさわしい人物は今の自民党にそうそう居るまい。安部君は彼を少子化問題担当特命大臣にこそ任命すればよかったのだ。いや、今からでそうしたらどうだろう。
そもそも「少子化」の何が問題なのかを考えてみればよい。
国の体裁よりも個人の生き方を大切にする思想の人間の前に少子化問題なんてものはない。少子化? 国土が広くなって大変結構ジャン、どんどん人口減らしましょうってなものである。子供を老後世話用機械、あるいは金運び機械だとする前提があるからこそ、少子化「現象」は少子化「問題」へと変質するのだよ。彼はその文脈に忠実に従っただけで、その意味でいまさら柳沢君の思想を云々批判するなど、周回遅れもいいところなのだ。
柳沢君がまずかったのは、喩えがまずかったことに気がついたのにそれをその場ですかさず修正しなかった点にある。喩えというのは使うのにコツがいるものなのだよ。いちばん重要なコツは、意図が正しく伝わっていないと悟ったらその場で直ちにその喩えを取り消すことなのだ。
政治家の仕事というのは結局御用聞きなのだから、いかに一般市民の想像力が低かろうと、そのレベルに合わせてモノをいう能力がなければやってはいかれぬ。その意味で、柳沢君の発言がまずいものだったのは確かであろう。厚生労働大臣などという根幹的役職には彼には危なっかしい。やはり専門分野に絞って活躍させるのが良かろう。
ここで厚生労働大臣は他の者に代え、柳沢君をすかさず少子化対策担当大臣に再任命する。いちおう柳沢君に対する懲罰人事を適用して「けじめをつけた」感じがでると同時に内閣残留が実現することがミソ。安部君も野党もそれぞれに面子が立とうというもの。どうじゃ。すばらしかろう。
私も柳沢発言について書こうと思っておりましたが,土井さんの記事を超えるものは書けません。全く同意です。
彼はなにも喩える必要のないところでわざわざまずい喩えをしたものです。まあ思想がよくわかってよろしいが。
silverfoxさんにお褒めいただくとは恐縮です。とはいえ読み返すと誤字脱字だらけでひどかったので修正しました。
この問題、まあ良くも悪くも自民党的なものが前に出てきた感じです。少子化の何を問題視するのかを民主党がやっと議論の的に据えようとし始めたようなのが喜ばしいと思います。