湾岸戦争の憂鬱

| コメント(0) | トラックバック(0)

小泉の米国バンザイ外交ぶりを支持する者たちが、 その理由の一つとして掲げるのが 「湾岸戦争で批判された」屈辱外交を繰り返すなというもの。

なんという間の抜けた主張だろうか。

船橋洋一氏が 週刊朝日に掲載した記事 を読んだ。小泉氏がこうも米国べったりな状況について、 3点を挙げている。最後に挙げられているのが、次のことである。

(3)湾岸戦争のトラウマ(精神的外傷)。湾岸戦争の際、
日本は自衛隊を多国籍軍の一環として派遣することができず、
戦後、やっとのことで掃海艇を出した。130億ドルもの巨額の
国際貢献は感謝されるどころか、「too little, too late」
(小出し、ぐず)と批判された。日本外交は「小切手外交」と揶揄された。
海部・ブッシュ間でうたい上げた「日米グローバル・パートナーシップ」は
たちまちにして崩壊した。ベーカー国務長官は、日本をその後相手に
せずという日本軽視外交へと転換した。あの屈辱だけは繰り返したく
ないという思いが、今回の派手な対米支援外交となって噴き出たのだろう。
この「屈辱」というのが実に曲者のキーワードだ。 山ほどの支援をしたのに批判ばからされて踏んだりけったり。 それはまあ当局者としては悔しかっただろう。

だが、評価が気に入らなかったのなら、その評価に対して正面きって反論/批判して見せればよかったではないか。 それを、今回は非難されないためにもっと派手に支援するという。本末転倒だろうがボケ。

そもそも、ブッシュ戦略は世界から逆風を食らっており、米本国内でさえそのコンセンサスは怪しくなってきている。先日も、イラク戦争のヒロインが回想録を書き、自分はヤラセの軍の宣伝に利用されたと暴露した由。 そんなジョーカーを引いて得意になっててどうするか。世界的には、湾岸戦争以上の「屈辱外交」に終わる可能性が高い。この明白な論理が理解できない対米追従主義者の頭脳レベルはまったく嘆かわしいと思う。

そもそも多大な犠牲を払ってまで「屈辱」を回避することのメリットが国民にあるのか? 北朝鮮? そんなの関係ないよ、アメリカはどうせ自分にメリットがないことはやらない。

いや、彼らにはそういった論理が理解できないというより、理解したくないのだろう。

日本は「強く」、「誇りがあって」、安保理の常任理事国とかにもなってかっこよくなくてはならない、と思い込んでいて、そのような「理想の日本」に「自己を同一化したい」欲求があるのだろう。青年期の自己形成に失敗して、自立した「己」というものを確立することに失敗したのだ。だから宗教に走る。

そして、その宗教を否定する朝日新聞的なものには敵意を露にし、彼らの人生をかけて否定して回るわけである。実に卑しい。

【トラックバック】 


本エントリーの初出:チャンネル北国TV (2003-11-16)

トラックバック(0)

トラックバックURL: /379

コメントする

このブログ記事について

このページは、kojidoiが2003年11月16日 00:00に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「デザイン再変更」です。

次のブログ記事は「送別会」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

アーカイブ

Powered by Movable Type 5.01

2015年12月

    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
  • アクセス管理
    人気ブログランキング - testブログ あわせて読みたい

    アイテム

    • AropbKZCMAAk6mG.jpg
    • P1000323_crop.JPG
    • P1000343.JPG
    • P1000342.JPG
    • P1000335.JPG
    • IMG_0491.JPG
    • IMG_0487.JPG
    • IMG_0485.JPG
    • IMG_0483.JPG
    • P1000319.JPG