どっちが思考停止なのか? 黄色いハンカチへの「違和感」をめぐって

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ごまめさんとおっしゃる方からコメントを頂いた。

前回のエントリー について、ごまめさんは「私も思考停止しているのか」とのコメントをおつけになった。それに対して当該エントリーに私なりの返答を書いたわけなのだが、どうもひっかかるものを感じていたのだった。

さきほど、 その方のブログを読んでみた。

そこには、こう書かれている。

そうです。賛成なのか反対なのか保留なのか、自らのポジションを明らかにする事は当然必要です。しかし、それとリボンをつける事(今現在イラクにいる全同胞の無事帰還を祈る事)は全く別問題だと申し上げているのです。
私もこの点には同感なのだ。非常に共感するのだ。だからこそ 前回のエントリー では、派遣問題の是非そのものについては論じていないのだ。

私はイラク戦争にも自衛隊派遣にも反対である。小泉は説明不足だと思うし、憲法はどうなっているのかアンクリアだし、この戦争が国際平和ないしはイラクの平和ないしは日本の平和にほんとうに役立つのか疑問だし、全般的に納得行かない事だらけなのだ。

しかしだ、もし仮に100%疑いようもなくイラク戦争が世界平和維持のためのやむを得ぬ戦であり、自衛隊は国際貢献のために世界のどこへでも駆けつけるべしと憲法9条に明記してあったとしても、やはりハンカチ運動には違和感を感じただろうし、また、感じなかったとしても、「違和感を表明すること」自体を批判することには明白に反対の論陣を張っただろう。

その理由は極めて明確に説明することが出来る。言論の自由・内心の自由こそが自由国家の根幹をなすものであり、尊重されなければならないと考えるからだ。ハンカチやリボンに執着する自由も保障されなければならないだろうが、下らないからやめりゃいいのに(そこまで誰も言ってないが)と思う自由も同様に尊重されるべきである。件の監督批判はこの大切な基本原則への挑戦に他ならない。誤解している人もいるようだが、監督はこの運動をやめろとはいっていない。もちろん監督にそんなことを強要する権限はない。しかし彼は「違和感」を表明しているだけである。

しかるに、ごまめさんは2月21日の追記において次のようにおっしゃっているのだ。

でもね、「思考停止」とか他人を批判しながら実際は言ってる本人たち自身が「思考停止」状態なのに気が付いていない事に、いいかげんごまめは腹が立ちます。 黄色いリボンキャンペーンに反論にすらなっていないくだらないケチをつけている暇があったら、「よくわからない」とか逃げてばかりいないで正面から「自衛隊イラク派遣」そのものについての議論をしなさいよ。まだ全然遅くないですよ。他人の行動に四の五の言ってないで、賛成でも反対でもいいから自分の行動理念をきちんと整理する努力をしなさいよ。
聞き捨てなりませんな。後段の文章はご自身の文章(先に引用した部分)と明らかに矛盾しているではないか。本来ここでは、ハンカチなりリボンなりで「自衛隊の無事を祈る気持ちを表現すること」あるいは「そのような表現をみんなでしようと運動すること」の評価が問題になっているのだ。派遣の是非は別問題なのだ。ご自身でそう明言しているではないか!

さらに言えば、誰も「自衛隊員の無事を祈る心を忘れて」などいない。もっとも、監督批判派はどういうわけか、

新佃島・映画ジャーナル

まぁイラクで自衛官の犠牲者が出れば、それによって「隊員たちを危険な場所から引き上げさせろ」という気運が盛り上がる可能性はあるので、海外“派兵”反対論者は心のどこかで、イラクで自衛官が犠牲になることを願っているのかもしれないけどさ。
こういう根拠レスなコメントを垂れ流すことに疑問を感じないようであるが(これこそ「野次るだけの卑怯なスタンス」じゃないのかね。下衆の勘ぐりもいいところだと思うが)。

閑話休題。とにかく議論のフォーカスはいいかげんハッキリしたことだろう。 それを踏まえて反問する。なぜフォーカスをイラク派遣問題そのものの外にズラすことが「思考停止」だとかになるのか。何をどう論考すれば、違和感を表明することが「観客席から競技場に向かって野次るだけのような卑怯なスタンス」だとかになるのか。

ごまめさんこそが「是非論に足を取られて」いるのではないか。

以上のような明白な矛盾を踏まえて、ごまめさんのコメントを改めて読んでみる。

黄色いリボンをつけながら反対運動を展開すればいいのです。また、黄色いリボンをつけて派遣賛成(積極的に賛成している人がどれだけいるのかやや疑問ですが)を主張すればよいのです。
残念ながら、私としては以下のように解釈せざるを得ない。

ここにあるのは結局のところ「自分の流儀にケチをつけることは許さん」というごまめさんの排他的な願望であり、一見もっともらしく見える「派遣問題とリボン問題は別」は、これを誤魔化すための後付けの言い訳に過ぎないのだ。これは思考停止と呼ぶに値するだろう。

私は思考停止そのものを必ずしも悪だとは思わない。なんといっても時間は有限だから、どこかで停止させなければやってられない。だが、ご自分の思考停止を棚に上げて、卑怯だの野次だのと脈略不明瞭な言葉を他人に投げつけるのは、相当に恥ずかしい行為だと思う。これこそ「反論になっていない下らないケチ」に他ならないではないか。


本エントリーの初出:チャンネル北国TV (2004-02-25)

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このページは、kojidoiが2004年2月25日 00:00に書いたブログ記事です。

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