超高性能な電気自動車が実用化一歩手前

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NHK特集で「スーパー電気自動車」開発を取り上げている。いまたまたまテレビを見ていて知ったのだが、面白そうなので番組を見ながらリアルタイムでエントリーを仕上げることに挑戦してみる。

600馬力、時速300kmを誇る電気自動車が実現。時速400kmを目指して開発続行中。その名はElica(エリーシャ)。

実は電気自動車の歴史は古く、西暦1900年の時点で、ポルシェ社は時速50kmで50kmの航続距離を持つ自動車を作る技術を持っていた。フォードが流れ作業でガソリン車を安く大量生産する手法を編み出した20世紀初頭まではむしろ自動車の主流だった。しかし、ガソリン車の製造技術の発達に比べ、電気自動車のモータなどの改良は進まず、次第に淘汰されてしまった。

今も電気自動車は存在するが、クリーンではあっても馬力もスピードもなく、ゴルフ場などの限られた空間で細々と命脈を保っているという感じである。 ところが、Elicaはそれらとは一線を画す性能を持つ。

  • ガソリンに換算すると、リッター24kmの高燃費。
  • 現在の最高時速370km。
  • 7秒で時速160kmに達する加速性能。ポルシェの最新鋭スポーツカーでも同じ時間で130kmまでしか加速できなかった。
  • 八輪の車輪をもつがそれぞれにインホイールモーターが埋め込まれていて、直接機動力を車輪に与える形式。それゆえ、車には「エンジンルーム」が必要なく、車の設計にも自由度がある。
いうまでもなく開発には様々な困難が伴う。 まず、毎秒12000回転のモータが必要。最新型の新幹線のモータですら最高6000回転であり、開発にあたってはコイルの巻き方からして再検討が必要だった。磁石も最新鋭のものを用意する必要があった。もっとも問題なのが電池。リチウムイオン電池は量産が効かず、現在一台の車に搭載必要な電池の価格は3200万円。これではいくら高性能でも売れない。

ところが、中国でも電気自動車が開発されていた。電池メーカが主導し、既に50台のタクシーを生産・供給するところまで来ている。車そのものの性能は日本のガソリン車にも負ける(といっても充分実用レベル)が、なんといっても電池の製造ノウハウがあり、日本より遥かに低価格の電気自動車を量産できる可能性を秘めている。日中の提携が模索されている。日本ではやっと三菱自動車が興味を示し、提携に向けて動き出した。

注目したいのは、日中どちらも、開発の中心となったのが自動車の専門家ではないということだ。日本のリーダーはもともと環境学の専門家。大気汚染の研究からクリーンエネルギーの自動車の開発に興味が湧き20年に及ぶ苦闘の末ここまでこぎつけた。いろいろなところから技術支援・資金提供を受けているが、自動車メーカーからは過去20年無視しつづけられたという。中国側も電池メーカーだ。電池の需要掘り起こしというところから発想し、何もないところからたった2年で実用車両の製造にこぎつけた。

まとめ。

  • 電気自動車はガソリン車を凌ぐ古い歴史をもち、また将来性を秘めている。
  • 「専門家」でなくても、しかるべきモチベーションと戦略を持ってすれば専門家を凌ぐ仕事を成し遂げられる可能性がある。
  • 本気を出したときの中国人の馬力はすごい。

本エントリーの初出:チャンネル北国TV (2004-10-02)

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このページは、kojidoiが2004年10月 2日 00:00に書いたブログ記事です。

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