「国が燃える」論争の本質

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これは歴史認識だの史実の検証だのという高尚なレベルの議論ではない。もっと下らないレベルの話だ。

問題の一つはフィクションとノンフィクションとの(恐らく意図的な)混同であり、もうひとつは「異見」へのなりふりかまわぬ封殺の姿勢である。

件のマンガの文芸作品としてのデキなどこの際どうでも良い。問題にすべきなのは、虚構の世界を取り上げて「捏造だ」とか「歪曲だ」といいつのることの歪さだけだ。

対中国情報戦? どこのバカが娯楽マンガで情報戦を戦わせるというのだ! 事実の検証などというのも無意味だ。マンガの世界が「うそ」であることなど初めから分かっている。今更トートロジーを弄んでどうしようというのか。

批判論者たちとて本当はその程度の簡単な理屈は理解しているはず。それを無視するのは、ホンネが「異見を聞きたくない」からなのだ。さすがにそこまで露骨にはいえないから、「事実の検証」などともっともらしい理屈を後付けしているだけ。

だが 後付の理屈は後付けゆえに、かならずその近傍に矛盾点が露出しているものだ。 すなわちノンフィクションに求めるべき要件をフィクションに適用する技を使ったことで、「車輪氏」は結果的に自己の存在を否定することになってしまった。

そして 野良猫氏 は彼が好んで使う「物理的事実」が本当は絵に描いた餅に過ぎないことを露呈してしまった。マンガがどうあれ、「物理的事実」が有意味なら粛々とそれを武器に対中国情報戦を闘えばいい話。そのためこその「事実の検証」ではなかったのか。

ところが彼はこのようなマンガは駆け引きの妨げになるから困るという趣旨のことをノタマッテいるわけなのだ。要するに、本音の部分では物理的事実なんて彼も信じていない。そういうことだと解釈せざるを得まい。

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本エントリーの初出:チャンネル北国TV (2004-10-13)

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このページは、kojidoiが2004年10月13日 00:00に書いたブログ記事です。

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