帰省の帰路に使ったJRの新型電車特急「サンライズゆめ」についてあれこれ記録する。
JR西日本が満を持して企画・製作した最新式の電車寝台列車がサンライズシリーズである。定期列車として東京−高松ならびに出雲市を結ぶ経路が運行されている(サンライズ瀬戸とサンライズ出雲という名称が与えられている)が、年に何日か、臨時列車として下関→東京便が運行されるのだ。臨時列車運行される列車には「サンライズゆめ」という名称がついている。今回の帰省の目的のひとつは、消え行く「あさかぜ」と新鋭のサンライズを乗り比べ、日本における夜行列車の将来について考察することにあった。そこで万全の体制を敷いてそれぞれの予約解禁日に寝台券をゲットしておいたのだった。
1月3日。下関始発の臨時列車「サンライズゆめ」は年明けはこの日にしか運行しない。これに16時20分宇部駅から乗り込み、翌日4日早朝に東京着、その足で常磐線に乗り継いでつくば市まで帰り、家にも寄らずに直接出勤するというすばらしい計画である。しかし出足からつまずいた。宇部駅で乗り遅れ、新山口駅から広島駅まで新幹線こだま号で追いかけることに。しかしお陰で久しぶりに0系車両の健在な姿を見ることができた他、広島駅で旨い立ち食いうどんを食えたのでよしとしよう。
広島駅で乗り込んだサンライズの車両は、新しいだけあってキレイである。廊下の照明も温かみがあり、いい感じだ。
今回ゲットしておいたのはB寝台の「ソロ」というクラスである。サンライズのB寝台には「ソロ」・「シングル」・「ツイン」の3種類がある。ソロが一番料金が安い(6300円)。そのソロを含め、サンライズの寝台は全てが鍵のかけられる個室である。
従来の九州・山口−東京往復に使われていた寝台特急は客車寝台であり、動力部をもたない客車を機関車が一方的に引っ張っていく形式である。これに対してサンライズは電車寝台。すなわちモーターがいくつもの車両に分散して存在し、運転台から総合的に制御されるわけだ。この形式の違いは、駅に発着する際の乗り心地に大きな違いをもたらす。客車式だと、客車が動き出す瞬間に乗客が感じる「ガクン!」というショックがとても大きいのだ。電車式列車はもっとずっとなめなかに発進してくれる(ショックがゼロというわけには行かないが)。
サンライズでは全ての寝台スペースが2階建て構造をとっている。だが寝台の配置方式はグレードによって微妙に違う。ソロのスペースは上下2段になっており、下段はドアを開けるとそこがベッドだが、上段は狭い階段を上りきったところにベッドが来る。
さっそく割り当てられた部屋に行ってみる。私の割り当ては下段だ。うーん。さすがに広いとはいえない。スペースはカプセルホテルのベッドと大差ない広さだ。ドアの脇に目障りな出っ張りがある。これは、前述した上段の階段スペースなのだ。その出っ張りの下に「カミソリ専用」のコンセントと、カップホルダーがあり、カップホルダーには薄手のプラスチックコップが包装紙に包まれた形で用意されている。ベッドの上には毛布と浴衣。そして、Welcome to Sunrise Expressと題された簡単なパンフレットが置いてある。パンフレットは瀬戸・出雲に共通のものであり、両列車の運行経路の略図、車内設備の案内などが記されている。
部屋には室内灯・入り口灯・常夜灯の3種類のライトがあり、ベッド脇のコントローラによって乗客が好みに合わせて照度をコントロールできるようになっている。コントローラーにはエアコンの制御つまみと目覚まし時計、FMラジオの受信装置もついている(ビジネスホテルやカプセルホテルについているのとだいたい同じ)。A寝台ではこれに加えて衛星放送(NHK衛星第1、第2そしてWOWOW)が視聴できるとパンフレットには書いてある。
下段ではベッドの高さが駅のホームの高さとだいたい同じにみえる。
窓枠はベッドの20cmぐらい上から50cmぐらいの高さにあるから、ブラインドを上げておくと駅の待合客から覗かれ放題である。これに対して上段はホームを見下ろす形になる。乗り心地としては上段の方が若干快適ではないかと思う。
つづく
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本エントリーの初出:チャンネル北国TV (2005-01-18)
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