GWに成したGWらしい行動。鉄道と船による東京湾一周を試みた。
こういうときこそ東京近辺が面白いのである。探せばいろいろなスポットがある。
以前テレビ番組で見て一度行ってみたいと気になっていたスポットがあった。鋸山である。
良質の石が取れるというので岩肌が垂直に切り取られていて、なんとも不思議な風景である。同時になにやら由緒ありげな大きなお寺があるという。ここを第一目標に設定。
5月4日、朝4時半起床。前日に買い求めておいたホリデー・パスを手に久しぶりに常磐線普通列車に乗り込む。ホリデー・パスとは東京近郊のJR路線が一日乗り放題となるチケットである。かなり広い領域がカバーされている。常磐線は土浦まで、内房線は木更津までが自由乗車エリアに含まれる。鋸山は浜金谷という駅が最寄であり自由乗車エリアからは外れているが、乗り越し清算分を入れても普通の切符で行くよりはずいぶん安くいける。今回は常磐線から武蔵野線と京葉線を経て内房線に入るルートを使った。関東在住20年余りが経過して、武蔵野線には初めて乗る。この特異なルートをたどる路線のことが前から気になっていたのだが今まで乗ってみる機会がなかった。感激である。
現地には9時に到着。ロープウェイで上るのだが昭和40年代そのままのテイストの駅の前に既に長い行列ができている。切符を買ってから列に並ぶようにと、交通整理をしているおじさんが大声で案内をしている。しばらく見ていると若い従業員がこのおじさんになにやら指示を仰いでいる。もれ聞こえた会話からするとそのおじさんこそがロープウェイ運営会社の社長らしい。だとすると切符もぎりをしている人は専務取締役あたりなのかもしれない。
ロープウェイを降りて10分ほど歩くと展望台がある。途中で道が分岐していて、分岐の一方の道を行くと磨崖仏が拝める。最初の写真はその仏様の手前の光景で、この切通しも石切の名残であろう。分岐のもう一方の登り道をいくと展望台に到達し、そこから磨崖仏の方を見下ろすことができる。
それほど標高の高い山が存在しない土地柄だけに鋸山の存在は目立つ。日本列島の創成期に神様のいたずらで忽然と低地の真ん中にこのようなものができてしまったのである。
鋸山は海のごく近くにあり、視点を転じれば東京湾に対岸の神奈川県の山々が、そして手前には房総の山々が広がる。雄大な景色であり、1300年前の人々がここらに寺でも作るかと思い立った理由もわかるような気がする。
いってみるまで知らなかったが鋸山のふもとの金谷には東京湾フェリーの発着する港があるのだった。ロープウェイの駅から徒歩10分である。せっかくだから帰りはこれに乗ってみる。対岸の久里浜までは11キロだそうである。久里浜もホリデー・パスの範囲内。横須賀線直通列車で東京駅まで1時間あまりである。東京駅で遅い昼飯をとり、丸善書店でじっくり本を漁り、京浜東北線で蒲田まで戻って、最近おきにいりの温泉銭湯に立ち寄り、晩飯をついでにとった。
丸一日、ざっと通常運賃にして5000円ぶんぐらいJRを利用したがホリデー・パスは2300円である。乗り越し清算分560円を足しても、なお相当にお得。
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