衝撃の指摘が満載。現在われわれが参加させられているところの「リサイクル」は環境問題に寄与しないどころか、既存の古紙回収業者などを圧迫し、新たに生まれた「既得権益者」をして濡れ手で粟で儲けさせているというのだ。
それだけではない。京都議定の欺瞞、ダイオキシンの毒の大嘘など、次々矢継ぎ早になされる指摘は論理的にもしっかりしたものである。全面的にとまでは言わないが正しく鋭く問題提起していると納得できる必読書である。
いわく、
* ペットボトルは環境保護の優等生である。しかしリサイクルしようとするとその行為に無駄に石油資源などを使うので環境保護の面からは逆効果である。燃やしてしまうのが一番である。
* あれだけうるさく分別が言われるゴミだが、実は殆どは有効活用されていない。
* 今の焼却炉はプラスチックを燃やしても痛んだりしない。有害物質も出ない。むしろ生ゴミとかだけではカロリーが足りないため良く燃えず、わざわざ重油を掛けて燃やしたりしているのが実情。
* ダイオキシンの毒性はまったく確認されていない。あとづけで「ダイオキシン類」などという、本来の科学の定義とは違うものを一緒くたにした定義を持ち出してウソを吐露しているが、枯葉剤によるシャム双生児も、ワニのメス化も、本来の意味でのダイオキシンのせいだという証拠はない。「ダイオキシン類」についてはもともと毒だと分かっているものが毒だと騒いでいるだけで、少なくとも環境問題の文脈では無意味である。
* 無駄なリサイクルをお役所公認で手がける業者というものが存在している。市民がわざわざ苦労して分別して出したゴミをただ集め右から左に流すだけで、彼らは儲けることができる。リサイクルがこうまで浸透したのは、彼らと役所が結託して甘い汁を吸おうとしたからに他ならない。
とにかく読め!
「誰も反論できない正論」をまず提示し、それへの「対策」として、やりたいことを皆に押し付けるというのはこれまでいろんな人々が実践してきたことだ。アフガンの給油問題などは正にこの範疇だな。
環境問題という、いかにも「左」系の人の中に傾倒している人の多そうな問題にも同種の欺瞞が満載であったというわけだ。遺伝子組み換え問題同様、やはり現実に正しく対処するには情緒は脇においてきちんと科学を勉強しなければ駄目だという教訓をここでもかみ締めなければならないだろう。
私としてはこれまで捨てるたびにこれでよいのかと悩んでいたプラスチックトレイやペットボトル、牛乳パックなどをどうどうと燃えるゴミに一緒に出してよいのだ(それが御用業者以外の誰にとっても一番の利得になる!)ということがわかっただけでも大収穫である。今後はゴミ捨ても随分楽になる。資源ごみも、パソコンやテレビなど変な回収金を取られるのはまったく変な話で、やはり世の中の役に立っていないのなら少しづつ金槌で分解して処分してしまうのが賢そうである。
環境問題はなぜウソがまかり通るのか (Yosensha Paperbacks (024)) | |
武田 邦彦 洋泉社 2007-02 売り上げランキング : 94 おすすめ平均 不都合な真実 結局僕たちは何をしたらいいのだろうか ペットボトルは燃やしてしまうのがいちばん! Amazonで詳しく見る by G-Tools |
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