「沈まぬ太陽」を見て以来、あの日航機墜落事故の記事に敏感になっている。感銘したのが、先日発売の週刊文春に掲載されていた、生存者の一人である吉崎博子さんの記事である。
例の事故では吉崎博子さんと娘の美紀子さんを含む4人の女性が奇跡的に生き延びた。しかし、吉崎博子さんは家族五人で搭乗しており、長男・二女そしてご主人を事故で亡くされたのである。
「メガネをはずしとけ」とは、ご主人が墜落の間際に最後にかけてくれた言葉だそうだ。メガネで顔面を傷つけないようにという心遣いだったろうと博子さんは述べている。
人間かくありたいと思う。
飛行機はものすごい勢いで旋回しながら山肌に迫りつつあった。数秒か数分後には間違いなく自分たちは最期を迎えると覚悟されていたに違いない。ご主人はそんな中で冷静にパートナーに気を配ってこういう言葉を残した。自分がそのような立場に立ったらどうだろう。自分の殻の中でパニックに陥ってただ震えていそうな気がする。
コメントする