「アリの何割かは怠け者である」説というのは有名で、 人間社会へ投影するといかにも味わい深げな随想が簡単に書けるため、昔からよくいろんなところで引用されていた。だが、実はきちんと確かめられたことはなかったのである。 その説の真偽について、このほど地道な観察に基づく成果が発表される運びとなったようだ。
怠け者は確かに実在するらしい。
まずは、記事のリンク。
- http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20031028i505.html
- http://www.asahi.com/science/update/1029/002.html
"全体の2割ほどが働かない。しかし彼女らが何らかの 恩恵をコロニーにもたらしている可能性は否定できない。"
ということのようである。
http://homepage.mac.com/kensuke_nakata/essays/anttxt.html にあるように、これまで、「怠け者アリが一定の割合で巣に存在する」説は、まことしやかにあちこちで語られていたものの、それをきちんと説明した研究はなされていなかったのであった。 いわゆる都市伝説の一つであったといっていい。
今回、長谷川助手は果敢にもそのテーマに挑戦された。新聞記事からも伺えるが、まことに地味で根気と時間が必要な研究であるはずだ。そして、この研究が産業や特許やベンチャー起業に「直接」結びつく可能性はきわめて低い。
にもかかわらず、こういう仕事こそ大学で継続されなければならない研究である。この研究が基盤となって、より効率的な生産工場の設計とか、より人にやさしい勤務管理の手法とかが生み出されないとは限らないのである。
なんたって、これでエッセイストは確実にネタを一つ増やせる。あきらかに社会の役に立っているのである。
一般誌がこれをとりあげてくれたのは歓迎すべき出来事である。まずはこれで「ふーん、おもしろいね」と感じてくれる人が少しでも増えてくれること。これが大切だ。
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本エントリーの初出:チャンネル北国TV (2003-11-01)
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