レーザーを使ってバーチャルなキーボードを作ると いうアイディアは面白い。使わないときは「しまっておける」し、複数のキーボードを切り替えて使うことも簡単にできそうだ。用途によっては非常に有効かもしれない。
だが、このキーボードでブラインドタッチはまず無理であろう。キーに触った感覚を指先で確かめられないから、この一点で、従来のコンピュータのキーボードからの置き換え候補としては落第である。
新聞記事によれば、 PDAや携帯の入力デバイスとしての応用が 視野に入っているようだが、これについてはどうか? 残念だがこれも難しそうだ。なぜならこのデバイスでは 普段こそスペースを確保しておく必要がないものの、 いざ入力という段になると像を投影するための 「机」がどっちみち必要となるのだ。 PDAや携帯を主にどうやって使うのかを考えれば これはそうとう難しい課題である。
銀行のCDなども最近は機械式の入力ボタンが すたれ、画面の表示にあわせてタッチセンサーに 触れる方式が主流となっているが、あれが 盲目の人たちの障害になっているそうだ。 最初に述べた「キーに触った感覚」を掴むことが できないからだ。一般人にとっては「ちょっと不便?」で すむ問題だが、彼らにとっては致命的な欠陥で あろう。
ユニバーサルデザインの観点からはむしろ 旧式の機械のほうが優れていることもある。皮肉なことだが。
機械を設計する人は、技術的には面白くないかも しれないが、この厳然たる現実の一側面をしっかり受け止めて 置く必要があるのではないか。
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本エントリーの初出:チャンネル北国TV (2003-11-09)
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