遺伝子組み替え技術の研究は、日本の食料生産能力向上を考える上で重要な鍵となる。おかしな宗教でその営みを妨害してはならないのだ。
バイオテクノロジージャパンの記事を読んで、久しぶりに怒りで興奮している。
以前、北海道発のすばらしい気概をもったバイオベンチャー企業を紹介した。
ところがその進取の気性に富んでいるはずの北海道の農業/食品生産研究の場に暗雲が立ち込め始めているのだ。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/m-special/hokkaido-gl-hanron.html
遺伝子組み替え作物の屋外実験を事実上禁じようというのである。これはすなわち、研究をすべて止めよといっているのに等しい!
科学というものを理解せず、時計の針を逆行させようとする愚挙を推進しようとしている連中がここでも跳梁跋扈しはじめたようだ。しかも、それは北海道庁の内部にあって、道内の農業を監督する立場にある部署であるらしい。全く嘆かわしいことだ。
いつになったら日本の食品生産界は中世暗黒時代から抜け出すことが出来るのだろう!
遺伝子組み替え作物が食品として危険だという主張には、根拠がない。反対派が論拠としてあげるものはどれも、論理が矛盾していたり、憶測を真実と決めつけた上に成り立つシナリオに過ぎなかったりするものばかりだ。非遺伝子組み替え作物にも言える「危険性」を遺伝子組み替え作物の危険性を主張する論拠に使うなど朝飯前(自然でないからとか、これまで人間が口にした実績がないからとか、種の壁を超えているからとか、全部これまでの農業生産および食品の国際流通を通して実現しているものばかりだ)。スターリンク事件も昭和電工事件も、事の本質は遺伝子組換えとは無関係である。
真実をいえば、遺伝子組み替え作物の安全性検証の手段は、従来の作物に対してより遥かに確立させやすい。どういう素性の遺伝子を組み込んだのかが明白だからだ。
一方、この技術を発展させることによって、人的・経済的に小さな負担で安定した生産量を確保できるようになる可能性が高いし、医学的なメリットを盛り込んだ作物の創出など、さまざまな将来性を秘めている。
根拠なく「遺伝子組み替え=危険で忌まわしいもの」との固定観念にしがみつき、進歩と向上の努力をどぶに捨て、そればかりか、その固定観念から脱却しさらなる進歩と向上の道を模索しようとするものを敵視さえする、「プロ消費者」。
安全性の確保が重要? だったら実験して研究して論理的に考えて見なきゃダメだろうが! 理性と将来への先見性を持って人々を啓蒙し、適切な研究をサポートする立場にあるはずの道庁の監督官庁が、あろうことか野蛮な大声に迎合し、最悪のシナリオに飛びつこうとしている。
これは阻止しなければなるまい。
【参考資料】
【トラックバック】本エントリーの初出:チャンネル北国TV (2004-02-10)
コメントする