映画「赤い月」を鑑賞した

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なかにし礼原作、終戦直後の満州において翻弄される女性(原作者の母がモデル)の物語だ。美しい映像と過酷なストーリーを堪能した。

映画の概要は ここ。 (最近は何でも専用ドメインを取得するのね)

主人公の森田波子と夫は、身一つで満州に乗り込み、10年で酒造会社を軌道に乗せて大もうけする。だが、敗戦ですべてチャラ。屋敷も工場もソ連軍の爆撃で一発で壊滅し、波子は蓄積した財をすべて失い、子供二人を保護しながら必死に逃げる。

彼女は良くも悪くも「本能に忠実」な人である。ネタバレになるので詳しく書かないが、ちょっと現代の「良識」からは理解できないような行動を取っているように見える。 主人公の長女は、そのような「現代人の良識」を具現したような視点から母である主人公を見つめる役回りと言える。 主人公の人生哲学は、娘との短い対話の中で簡潔に語られるのだ。

波子の生き様を良いとか悪いとか論じるのは多分あまり意味がないのだろう。とにかく、そのようにしてがんばった女性の壮絶な物語に圧倒された。

これに比べれば今の日本は(月並みな言い方だが)本当に平和だ。私の状況などここ10年情けないほどに何も変わっていないものなあ。たった数年の間に、大邸宅に住み何人もの使用人を抱える身と、体以外なにもない状況を往復するってどんな気持ちだろう?

波子たちが始めて満州にやってきたとき、彼女らを果たしなく広がる原野と美しい夕焼けが出迎える。そして、彼女と子供が辛くも日本引き揚げのための列車に乗り組むことが出来たとき、再び壮絶に美しい夕焼けが列車の上空を覆っている。その圧倒的な映像は必見だ。おもわず「それに引き換え人間の人生のなんて矮小なことか」なんて考えてしまうぞ。

いい映画だ。夕焼けを見るためにも、DVDを待つのでなく劇場に足を運ぼう。


本エントリーの初出:チャンネル北国TV (2004-02-21)

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このページは、kojidoiが2004年2月21日 00:00に書いたブログ記事です。

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