個人IDカードとしての住基カード。今のところ普及率は低いらしいが、だからといってこんなもの無駄だとしてしまうのは弱者切捨てかもしれない。
専業主婦をやっている方で「身分証明書」が欲しくて乗りもしないバイクの免許を取得している人がいるという話を聞いたことはないだろうか。
個人情報の問題に皆が敏感になったからこそ、あちこちで本人確認の手続きが五月蝿くなってきているし、これからその傾向は間違いなく強まるだろう。そういえば、今は独立行政法人化した元国立大学だが、新入生が親元を離れた生活を始めるにあたって居住地の地方銀行に口座を作る際の手続きが面倒になっているそうだ。なんでも昔のように学生証を提示しただけでは開設手続きを受け付けてもらえないというのである。 「公的な」身分証明書でないとダメだということらしい。
そこで登場するのが住民票に保険証にパスポートにということになるが、まず前二者は顔写真も入っていないような代物であり、公的身分証明として信頼するにはあまりに心もとない。パスポートはどうか。これも発行してもらうにはそもそも別の「公的身分証明書」が必要であり、また発行所が限られているから、相当に敷居が高いといえよう。また運転免許証は事実上もっともポピュラーな身分証明証として活用されているが、生まれつき目の不自由な方などはどう頑張っても使うことが出来ない。
せっかく戸籍や住民票をすでにがっちり管理している市役所・町村役場があるのだから、これら行政側から住民への最低限の身分保証は成されてしかるべきだ。
これに対して普及率の面から住基カードを否定する主張がある。たとえば、
http://blog.goo.ne.jp/k_kyj/e/63340ab2cdf69f2ec8652dcf47b56d49
実際、住基カードの発行はわずか0.4%しかない。多くの市民は「こんなものはいらん!」という判断をしている。私もカードなんて、さらさらもらうつもりはないし、すぐにでも離脱したい。普及率の低さは全く問題ではない。「弱者」の人権保障のため、たとえ普及率が0.1%であろうと住基カード的な仕組みを整備すべきであろう。 自分に必要がないからといって、金の無駄だからやめてしまえとなるのは、あまりに想像力がなさ過ぎる。
本エントリーの初出:チャンネル北国TV (2005-06-05)
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